気ままな小窓でsimutrans

simutransが主ですが、二次創作小説(マンガ家さんとアシスタントさんと)もあります。創作活動の活力源は、何気ない皆様の言葉そのものです。だから、コメント残してくれると嬉しいなって。

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マンアシSS「足須沙穂都の災難」エピローグ

 最後まで楽しさに欠ける居候生活でした…。でも、やっぱり信頼あってのアシスタントとマンガ家、弟子と師匠だと思うんですよね。だから、例え特別な何かが無くても、本人達の絆は確実に深まる。そういう流れにしたかったんですよね。な~に言ってんだか(古


 居候から晴れて自室へと帰還した私だったが、ただ喜んでいられる心境ではなかった。
 今回の発端である、私のアパートの家賃引上げに対して、当初私はある程度手持ちに余裕が生まれてから家賃交渉を行うつもりだった。足元を見られてしまうのを防ぐため。しかし、いざ交渉しようというとき、先生がどうしてもと付いてきた。私は更なるトラブルを覚悟したが、結果は予想の裏側にあった。なんとあの先生が交渉を有利に進めてくれたのだ。
 なぜそんな事ができたのか。それは先生が、自分のアパートの管理人である住野姉妹に、あろうことか家賃交渉の秘訣を聞きに行ったからだという。同業者に聞くとか普通に考えれば非常識だが、なんだかんだで姉妹に気に入られている先生は、ワイン3本の条件でアドバイスを貰ったそうだ。荷物を纏めて自室に戻る日に、まもりさんがこっそり教えてくれた。
 そして、そのとき私は更に自分の迂闊さに恥じ入ることになった。先生のアパートは、1LDKの小さな部屋。そう、ここは本来一人暮らし専用の部屋だ。普段から〆切前などに何度と無く泊り込んでいる私はそのことをすっかり失念していた。
 本当なら、毎朝専門学校へ通うために部屋から出てくる私を、二人が気付かないわけが無い。だが、まもりさんは事の真相を、少し羨ましそうに話してくれた。

「あの大嵐の少し後だったと思うんですけど。昼間に愛徒さんが訪ねて来られたんです。珍しくて私も驚いちゃったんですけど、いつもと様子が違っててよく覚えてるんですよ!で、愛徒さんが『家賃を倍払うのでもう一人を暫く居候させて貰ってもいいですか?』って言い出すから…。で、詳しい訳を聞いてたらお姉ちゃんも来て、『あんな可愛い子を囲うなんて、アンタも罪なヤツだな』とか言って。結局月々5000円だけ上げさせて貰っちゃったんですけどね…。」

 どうりで只でさえギリギリの先生の月々の生活が、輪をかけてカツカツになっていた訳だ。それを聞いた私が、何も考えずに甘えていたことを謝罪するため、慌てて先生の部屋に踵を帰そうとした時に言われたのだ。

「あっ、でも、愛徒さんに『このことは足須さんには内緒にしておいて』って言われてたの!今日が最終日だからつい伝えちゃったんですけど…、やっぱり知らなかったことにしておいてくれますか?」









 いつもの通いに戻ってからも、先生の変人っぷりは変わらず、緊張感の足りない仕事場のままだった。けれど、あの話を聞いてから、私の中ではよく分からない何かが生まれていた。
 年中セクハラ紛いの言動で私達を呆れさせている先生と、私に心配をかけまいと必死に奔走する先生。これが同じ目の前の人物だということが、俄には信じ難い。…いや、信じるのを躊躇っているのかもしれない。もし認めてしまえば、私の心は今まで通りには行かなくなる。一方、もう意地を張り続けるのは止めよう、そうすれば今よりは素直に話せるかもしれない。これら根拠も目的も分からない、危惧と期待の入り混じった感情が渦を巻いている。そして私はこの“問いのようなもの”を“問い”として保留にすることもできず、有耶無耶のままに過ごしてしまっている。

 だが、このままいつもどおりに時間が解決してくれるだろうという消極的な期待が勢いを増して、もう心の大部分はルーティンに回帰しているのも事実。奥底の混沌は依然その姿を変えていないが、りんなさんやせなさんやみはりさんに純粋な下心を丸見えにさせる先生を見ていると、混沌の重さは徐々に軽くなってきつつある。日常のありがたさというものなのかもしれない。
 夏はもう姿も見えず、秋風が少しずつ冷たくなってきた。

Part8目次
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| 「足須沙穂都の災難」 | 22:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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